加熱気化式加湿器のメリット・デメリットについてご紹介します。
加熱気化式加湿器は、清潔で加湿力が高いと言われる一方「電気代が高そう」「手入れが大変なのでは?」という不安の声もよく見かけます。
この記事では、加熱気化式加湿器のメリット・デメリットを整理し、購入前に知っておきたい注意点と後悔しない選び方をわかりやすく解説します。
「自分の暮らしに合う加湿器なのか?」を判断する参考にしてみてください。
\お手入れ簡単で衛生的!/
目次
加熱気化式加湿器とは?

加熱気化式加湿器は、水を含んだフィルターに温風を当てて気化させる仕組み。
水を霧にして加湿する超音波式と違い、加熱気化式は蒸気(気体)でお部屋を加湿します。
- 温風を使うことで気化式より、加湿スピードが速い
- 気体で加湿するため、室内が結露しにくい
- 出てくる蒸気は熱くないため安心感がある
結露しやすい超音波式のデメリットをカバーし、温風で加熱することによる加湿パワーと、気化式の安全性を組み合わせた加湿器と言えます。
加熱気化式(ハイブリット式)加湿器のデメリット
加熱気化式加湿器のデメリットは主に、
- 電気代が高くなりやすい
- 本体価格が比較的高め
- 運転音が気になる場合がある
- お手入れの手間がかかる
- 本体サイズが大きくなりがち
の5つが挙げられます。
デメリットを詳しくみていきます。
電気代が高くなりやすい
ヒーターで空気を温めるため、気化式や超音波式に比べると電気代は高くなりやすい傾向があります。
加湿方式別 1時間あたりの電気代比較表
| 方式 | 加湿量の前提 | 消費電力の目安 | 電気代(1時間) | 電気代(1日8時間) | 電気代(1か月) |
|---|---|---|---|---|---|
| 気化式(ヒーターレス) | 500mL/h | 8W | 約0.25円 | 約2.0円 | 約60円 |
| 超音波式(目安) | 500mL/h相当で比較(機種差大) | 22〜30W | 約0.68〜0.93円 | 約5.5〜7.4円 | 約164〜223円 |
| 加熱気化式(気化ハイブリッド) | 約500mL/h | 220W | 約6.82円 | 約54.6円 | 約1,637円 |
| スチーム式 | 500mL/h | 400W | 約12.4円 | 約99.2円 | 約2,976円 |
※計算条件:電気料金単価31円/kWh、1日8時間×30日。加湿量は500mL/hで比較。
※超音波式は「消費電力30W前後」など一般的な目安を用いた概算(機種・モード差が大きい)
気化式や超音波式よりは高いですが、水を沸騰させて蒸気を出すスチーム式加湿器と比べると、加熱の度合いが抑えられている分、電気代は安いです。
本体価格が比較的高め
加熱気化式加湿器は、構造がシンプルな超音波式や気化式と比べると、ヒーターや湿度センサーなどを組み合わせた複雑な構造のため価格が高い傾向があります。
同じ加湿能力(加湿能力500ml/hクラス)の加湿器で比べてみると、
| 加湿方式 | 本体価格 | 価格の傾向 |
|---|---|---|
| 超音波式 | 3,000円〜7,000円 | 構造が単純なため、圧倒的に安い |
| 気化式 | 8,000円〜15,000円 | フィルターやモーターが必要な分、少し高め |
| スチーム式 | 7,000円〜18,000円 | 構造は単純だが、安全装置や魔法瓶構造で価格に差が出る |
| 加熱気化式 | 15,000円〜35,000円 | ヒーター、ファン、精密なセンサーが必須のため、最も高い |
加熱気化式加湿器は、初期費用は1.5万円〜と他の方式より高めですが、『衛生的』と『気化式の低燃費』が一台になっています。
初期投資は高いですが、その分、スチーム式と比較して電気代が低く、衛生的であるというメリットがあります。
運転音が気になる場合がある
加熱気化式加湿器は、温風を送るファンが回るため、音がうるさいと感じる可能性があります。
静音性はモデルによって差が出やすい傾向があります。
動作音が気になる方は、静音モード搭載モデルを選ぶのがおすすめです。
静音モードではファンの回転数を落とし、機械音が静かになるようになる仕組み。
お部屋が加湿されるペースが落ちてしまいますが、静音モードで湿度が下がるということはありません。
乾燥している部屋では、まず通常モードで湿度を上げ、目標の湿度に近づいたら静音モードに切り替えると、加湿力と静かさのバランスが取りやすくなります。
お手入れの手間がかかる
加熱気化式加湿器は、水を通すフィルターがあるため、2週間〜1ヶ月に一度のクエン酸洗浄が必要です。
放置すると、フィルターにカルキが固まってしまい、加湿能力の低下や臭いの原因になります。
ただし、メーカーによっては使い捨てのフィルターを採用したモデルもあります。
例えばダイニチの一部モデルでは、交換式の使い捨てフィルターを使うことで、フィルター掃除の手間を減らしつつ衛生的に使える製品もあります。
お手入れのしやすさを重視する場合は、フィルターの種類や交換方法もチェックするとよいでしょう。
本体サイズが大きくなりがち
加熱気化式加湿器は、加熱ユニットやファンを搭載しているため、本体のサイズは大きめが多いです。
床置きタイプが中心になり、設置スペースを考える必要があります。
加熱気化式加湿器のメリット
デメリットを挙げると意外に多く感じますが、それでも加熱気化式加湿器が多くの人に選ばれているのには理由があります。
加熱気化式加湿器は、
- 清潔性が比較的高い
- 吹き出し口が熱くならず安全
- 加湿スピードが速い
- 寒さを感じにくい
というメリットがあります。
メリットを詳しくみていきます。
清潔性が比較的高い
各メーカー独自の技術によって菌の繁殖が抑えられるため、雑菌が空気中に飛び散りにくいのが大きなメリットです。
加湿器内部のカビ・雑菌対策は各社が独自技術を開発しており、例えばダイニチは抗菌・防カビ加工済みの交換フィルターを採用。
シャープはプラズマクラスター+抗菌カートリッジで本体内部を清潔に保つ工夫をしています。
さらに、一部機種では運転後にフィルターを乾燥させる機能を持つモデルもあり、湿った環境残さないことでカビリスクを低減しています。
こうした仕組みとメーカー独自の工夫により、加熱気化式加湿器は「清潔さを重視したい人」におすすめです。
吹き出し口が熱くならず安全
加熱気化式加湿器は、スチーム式(煮沸するタイプ)と違い、吹き出し口が熱くなりません。
加熱気化式加湿器は、水を沸騰させて蒸気を出すスチーム式とは異なり、温風をフィルターに当てて水分を気化させる方式。
そのため、吹き出し口から出る空気は高温になりにくく、触れてしまってもやけどのリスクが低いのが特徴です。
小さな子どもやペットがいる家庭でも使いやすく、安全性を重視したい人にとっては大きなメリットです。
加湿スピードが速い
フィルターに温風を当てることで、スイッチを入れてから加湿されるスピードが早いのもメリットの1つ。
部屋が加湿されるスピードは、
一般的にスチーム式 → 加熱気化式 → 超音波式 → 気化式
の順で速いとされています。
加熱気化式はスチーム式ほど急激ではないものの、温風を使うことで蒸発量が大きく、他方式に比べて比較的短時間で湿度を上げやすいのが特徴です。
寒さを感じにくい
加熱気化式加湿器は、気化式や超音波式と違い、加湿によって体感温度が下がりにくいのが特徴。
加熱気化式加湿器は、温風を使って水分を気化させるため、加湿によってひんやりとした空気が出にくいのが特徴です。
そのため、温度計の数値が大きく変わるわけではありませんが、超音波式や気化式に比べて「加湿すると寒く感じる」といった不快感が出にくいと言えます。
冬場のリビングや寝室でも使いやすい方式です。
購入前に知っておきたい注意点
メリット・デメリットをふまえて購入前に知っておきたい注意点を確認しましょう。
フィルターの掃除が必須
最大の注意点です。
スチーム式(フィルターなし)や超音波式と違い、厚みのある「加湿フィルター」を使用します。
フィルターの掃除が「面倒」と感じるかどうかが分かれ道です。
- お手入れの頻度: 一般的に2週間に1回程度、フィルターの押し洗いやトレイの掃除が必要。
- 放置するとどうなる?: 水道水のミネラル分が固まってカビや雑菌の温床になり、生乾き臭が発生したり、加湿能力が激減する。
- 対策: 定期的にクエン酸に浸け置き洗いをする必要がある
消耗品の交換コストがかかる
フィルターは洗って繰り返し使えますが、寿命があります。
- 交換頻度: 多くのメーカーが「5年〜10年」と謳っているが、実際には水質や手入れ状況により1〜2年でカビやカルキ汚れが落ちなくなることも
- コスト: フィルター1枚あたり2,000円〜5,000円程度の予備費を数年ごとに見ておく必要がある
電気代は気化式加湿器よりは高い
「ヒーター」を使って風を温めるため、ヒーターを使わない単純な気化式に比べると電気代は上がります。
- 目安: 1ヶ月(1日8時間使用)で1,000円〜2,000円前後になる
- エコモード:設定湿度に達すると自動でヒーターを切る省エネ運転に切り替わる機種が多いため、スチーム式ほど高額ではない
本体サイズが「大きく、存在感がある」
フィルター、水タンク、送風ファン、ヒーターをすべて詰め込んでいるため、本体が大きくなりがちです。
- 設置スペース: 超音波式のように「棚の片隅に置く」というよりは、「床にしっかりスペースを確保して置く」タイプが主流
- デザイン: 最近はおしゃれなものも増えたが、基本的には箱型のモデルが多い
加熱気化式加湿器はどんな人に向いている?
加熱気化式が向いている人と、他タイプの加湿器を検討した方がいい人をまとめました。
加熱気化式加湿器が向いている人
- リビングなどの広い部屋を効率よく加湿したい人
→ 温風により気化させるため、通常の気化式よりも効率よく加湿できる - 小さなお子様やペットがいて、安全性と衛生面を両立させたい人
→ スチーム式のように吹き出し口が高温にならない、メーカー独自の抗菌技術により比較的衛生的に使える - こまめな(月1回程度)フィルター掃除が苦にならない人
→ フィルターを使用する方式のため、カビや水垢を防ぐために定期的なお手入れは必要 - スチーム式の電気代が気になるが、加湿能力は妥協したくない人
→ 設定湿度に達した後はヒーターを切って気化式に自動で切り替わるモデルが多く、消費電力を抑えて長時間運転が可能
他タイプの加湿器を検討した方がいい人
- とにかくお手入れの手間を減らしたい人
→ 構造がシンプルなスチーム式がおすすめ - 初期費用を安く抑えたい人
→ 超音波式や気化式(数千円から購入できる安価なモデルが豊富) - 本体サイズが小さい方がいい
→ 超音波式(デザインが豊富で小型のモデルが多い)
加熱気化式加湿器のメリット・デメリット まとめ
加熱気化式加湿器のメリット・デメリットについてご紹介しました。
加熱気化式加湿器は、清潔性と加湿力に優れているメリットがある一方、電気代やお手入れの手間といったデメリットがあります。
購入を検討しているなら、メリット・デメリットをきちんと知っておくことが大切です。
この記事が、加湿器選びの参考になりましたら嬉しいです。



